学ぼう。世界を信じるために。 〜入園・入学を迎える子どもたちへ〜


毎年この時期になると、私たち戸田デザイン研究室は入園・入学シーズンの販売に向けて準備を始めます。

これから学びを始める子どもたちに、たくさんの祝福とエールを込めて弊社作品をお届けしたい。
いつもそんな気持ちで臨んできました。

しかし、ここ数年の世の中を見ていると、それだけではいられないと感じます。
「今、この世界で、なんのために勉強するのか?」を問い直す必要に迫られている気がするのです。

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私たちの社会は、ここ数十年で大きく様変わりしました。

最も大きな変革をもたらしたのが、テクノロジーの発展であることに異議を挟む余地はありません。
こうして皆さんに弊社のメッセージをお読みいただけるのも、その恩恵に預かっている結果です。

一方で、本来、手段のひとつに過ぎないテクノロジーを使いこなせているのかは大いに疑問が残ります。

一向に止まない、匿名で他者を罵るコメントの数々。
不特定多数の不安をあおるフェイク動画は巧妙さを増し、誰かの放った悪意に満ちた流言に「いいね」を押して憎悪を拡大させる…。世界をまたぎ、グローバルに行われている日常です。

一部の政治家でさえ140文字に満たない言葉で、躊躇なく敵対の構図をあおってきます。

「私たちの豊かさを邪魔するのは、やはりあの民族だ。」

「自分の国が潤えばいいんだから、ぶんどってやれ!」

「あいつらのような嗜好を持つ者が、人間の質を貶めている。」

歴史の授業で教わってきた、恐ろしい独裁者が生まれた時代。
それをテクノロジーという新しいツールを使って、そっくり焼き直しているようにすら見えます。

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残念ながら、人間はそこまで強く、賢い生き物ではないのかもしれません。

過去の凄惨な歴史を散々教わったはずなのに、日々投下されるセンセーショナルな情報に自分の不満や不安を刺激されると、簡単に攻撃性を増して短絡的な手段を選ぶ。
誰かの都合の良い物語に書き換えられた「情報」に踊らされ、一部の為政者や企業が強大な力や利益を手にする。

時代を超えて繰り返されてきた愚行の構図・デジタル版とも言える側面を見ると、私たちは何を学んできたのか…。
正直、わからなくなります。

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ここから益々、私たちは個々の胆力を試される時代を生きることになるでしょう。

物事を正しく見極める力を養っていけるか。
他者と対話をする努力を重ねられるか。
他人の痛みを想像する強さを失わないか。
「より良い社会」の意味を考え続けられるか。

これには、多くのことを広い視点から学び、時間をかけて自分の考えを醸成すること以外に手立てはありません。
しかも膨大な情報の波をかき分けて進むのですから、生涯をかけて行う厳しい鍛錬と言えます。

そして、今、この終わりなき鍛錬こそ「学び」と定義してもよいのではないでしょうか。

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そんな果てなき「学び」に乗り出す子どもたちに、大人はなんと声をかけたら良いか言葉に詰まります。
しかし、未知に触れ、学ぶことでしか、この世界に溢れる様々な美しさを感じることはできません。

多様な美しさを肯定するということは、多様な人々の在り方を肯定するということ。
これこそが「勉強」がもたらす最大の叡智であり、世界を信じるに値するものへと変えていく力強い希望です。


戸田デザイン研究室の仕事は、この希望を信じ、最初の一歩を踏み出すきっかけを届け続けること。
この春はその意味を改めて噛み締めつつ、たくさんの祝福とエールを込めて弊社作品をお届けしたいと思っています。



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