今、私たちが届けたい思い
『せかい地図絵本』や『国旗のえほん』をはじめ、戸田デザイン研究室には世界について伝える作品があります。どれも時代を超えて読み継がれてきたロングセラーです。
私たちはこうした作品を制作するに当たって、子どもたちが世界と自分とを繋ぐ視点を持てるような内容・デザインとなるよう心がけてきました。
私たちの作品を通して、遠い国に暮らし、肌の色も話すことばも違う人々にも、それぞれの素晴らしい文化があることを知る。守るべき大切な家族、友人がいることを感じる。
知識は自分と世界を繋ぐ架け橋であり、他者への敬意や理解を育てていくことが世界について学ぶひとつの大きな意味だと考えてきたからです。
そうした私たちのメッセージもお伝えしたく、この夏は「もっと知ろう、もっと話そう。わたしの国のこと、あなたの国のこと。」というテーマでビジュアルを作り、全国の書店、百貨店などで展開しています。
今、世界を見渡してみると、ロシアのウクライナ侵攻が続き、世界をリードしてきた国々では分断が激化。差別や暴動が頻繁に起きています。
大人はもちろん、子どもたちも含め、たくさんの命と尊厳が奪われています。
こうした悲劇は今に始まったことではなく、永い歴史の中で何度も繰り返されてきました。
私たち人間は何度も深い悲しみを味わっていますが、今も終止符を打つことができずにいます。
もはや、こうした不幸を打ち切る手立てなど無いのでは?そんな思いすら胸をかすめることもありますが、それでも世界はたくさんの尊い命で満ちています。
こうした悲劇は今に始まったことではなく、永い歴史の中で何度も繰り返されてきました。
私たち人間は何度も深い悲しみを味わっていますが、今も終止符を打つことができずにいます。
もはや、こうした不幸を打ち切る手立てなど無いのでは?そんな思いすら胸をかすめることもありますが、それでも世界はたくさんの尊い命で満ちています。
この先に希望を繋いでいくには、どうしたら良いのか。
それには私たち一人ひとりがお互いを知ること、対話をし続ける努力を止めないこと。これが重要ではないでしょうか。
国を問わず人間は自分と他者との「違い」に敏感です。「違い」にきちんと向きうことができないと、それは恐怖に変わり、次第に暴力や弾圧に変わっていきます。そうして始まった悲劇は、世界中にたくさんあります。
しかしきちんとした知識に根差し、敬意ある眼差しを向けることができれば、「違い」はお互いを豊かにしてくれる素晴らしい財産になります。
平和無くして、希望は生まれない。これは時代や国境を超えた揺るぎない真実です。
次の世代に少しでも希望を繋いでいけるよう、戸田デザイン研究室は私たちのメッセージを大切に、世界を知るための作品を届け続けたいと考えています。
もし書店などで冒頭のパネルを見かけたら、ぜひ弊社作品を手に取ってみてください。子どもたちはもちろん、大人の皆さんにも、改めて世界に心を向けるきっかけにしていただけたら嬉しいです。
・地図の絵本に関する私たちの考えはこちら
・国旗の絵本に関する私たちの考えはこちら
こちらの展示もぜひ
現在、東京・渋谷区にある聖心女子大学グローバル研究所の展示室 BE*hiveにて、【子どもと不条理:それでも世界は生きるに値する 「第I期 子どもと戦争」】という展示が行われています。
気候変動による災害や戦争をはじめ、地球規模で数々の問題を抱える現代。
この展示では、現代ほど子どもにとって不条理がはびこる時代はないのでは?という視点の下、作家や実際に苦難に遭った子どもたちの表現を観ることができます。
第I期のテーマは子どもと戦争です。
工芸と歴史の政治性に注目し、テキスタイルや染織技法、映像などを用いた作品を生み出す工芸・美術作家 遠藤薫さん。
歴史や家族の記憶などから着想を得て、リサーチに基づく史実とフィクションを織り交ぜた独特の作風を持つ作家・漫画家の小林エリカさん。
そして第二次世界対戦時、ユダヤ人強制収容所のひとつであったテレジン収容所で子どもたちが描いた絵を30年以上にわたり紹介し、数少ない生還者に取材を重ねてきたノンフィクション作家 野村路子さん。
この3人の方たちの作品が展示され、テレジン収容所の子どもたちが遺した絵も観ることができます。
いずれの作品も、悲惨な場面や残虐な事実を直接的に訴えるものではありません。
しかし、戦争というものがどれほど強大な力でたくさんの命を奪い、心を壊してきたのか…。それが静かに伝わってきます。
同時に死の淵に立たされながらも、恐怖や憎しみに屈することなく、尊厳や希望を見出して生きようとした子どもたち、若い人たち、それを支えた大人たちの存在にも触れることができます。
そうした方々の存在を知ることで、「それでも世界は生きるに値する」という展示テーマの意味がより深く胸に響いてきます。
戦争はあまりにも多くのものを奪います。命だけではなく、希望や尊厳や愛と言った私たちが人間として生きていくための大切なものも、ことごとく壊していきます。
この恐ろしい行為の引き金をひくのも人間なら、止めるのも人間です。
「それでも」ではなく、「もちろん」世界は生きるに値すると、大人たちがしっかりと子どもたちに示すことができる世の中にしなくてはなりません。
それにはまず、私たちが過去から何を学び、考え、行動していくのか。繰り返し唱えらえてきたことですが、今こそ、そこから出発しなければならないと改めて考えさせられました。
また、この展示の制作は、森岡書店さんが担われています。
一冊の本から広がる世界を届ける森岡書店さんが、こうした子どもたちの未来を考える企画に深く関わられていること。
絵本を通じて子どもたちに様々なメッセージを届けてきた私たちも、改めてこれから何をすべきかをしっかりと考えていかなくてはと感じます。
ぜひ、皆さまにもご覧いただきたいです。
■展示の情報はこちらから。10月23日まで開催。
Webでの展示も観ることができます。
そして10月30日からは、第Ⅱ期「子どもと放射線 〜ヒロシマをテーマに〜」が始まります。